超伝導体を利用した高速・低消費電力信号処理回路の研究

研究概要
本研究室では、極低温下(液体ヘリウム温度4.2K)で超伝導特性を示す金属系超伝導体を利用した電子回路の研究を行っている。特に、超伝導ループ中で量子化する磁束を情報担体とした単一磁束量子(Single Flux Quantum : SFQ)回路による高速・低消費電力信号処理回路の研究を展開している。
1. 単一磁束量子(SFQ)論理による高速・低消費電力ディジタル信号処理回路
磁束量子の有無を情報の“0”、“1”に対応させることによる時間的・空間的に局在化したパルス信号を用いて演算を行う方式であり、高速性と低消費電力性を兼ね備えた電子回路として応用できる。図1は次世代信号処理回路への応用を目指したプロトタイプの4x4ビット並列パイプライン乗算器(動作周波数:30GHz、消費電力:1.3mW)の一例である。本チップは図2に示すように、液体ヘリウム中での極低温下において計測が行われる。

図1:金属系超伝導体(ニオブ)を用いた
超伝導集積回路(4x4ビット並列除算器)

図2:極低温(液体ヘリウム)下での
超伝導チップの計測
2. ニューラルネットワークへの応用
SFQ回路を利用したディジタル回路によるニューラルネットワークや、超伝導量子干渉デバイス(SQUID)によるアナログ回路を用いたニューラルネットワークなど、超伝導デバイスの高速・低消費電力性を生かしつつ、新たな機能を持つデバイスによる知的な情報処理を目指した研究を行っている。
利点・特徴 |
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応用分野 |
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